2016年度 スローガン

公益社団法人大垣青年会議所2016 第65代理事長 奥田知一

第65代理事長
奥田 知一

変化への決意

 戦後の荒廃の中、志を同じうする者が相集い設立された大垣青年会議所も、その歴史を積み重ね65年目を迎える事となりました。では、その志とは何なのか。この青年会議所が何のために設立され、日々何のために活動しているのか。いつの時代であっても、その想いは不変であり、何度目的を確認してもし過ぎる事は有りません。今一度見つめ直してみましょう。

公益社団法人大垣青年会議所 定款

第1章 総則 第3条(目的) 

本会議所は、青年の真摯な情熱を集結し、社会開発の理念に基づく経済の発展と福祉国家の実現をはかり、かつ、指導力開発を基調とした自己の啓発につとめるとともに、国際理解と親善を助長して、日本及び世界の繁栄と平和に寄与することを目的とし、次条に定める事業を実施する。

 なんと大きく崇高な目的なのか。まぶしく、潔く、壮大な目的なのか。
これほどまでに素晴らしい理想を掲げた団体に所属し、その理想に向けて活動している事に改めて誇りを持つと同時に、翻って自らのこれまでの姿を顧みては愕然とし、みじめに打ちのめされるばかりです。
 私はこれまで、人との関わり合いをなるべく避けてきました。自分に甘く、面倒事を避け、自ら心開く事を恐れ、他人と一定の距離を保ち、淡々と活動に参加し、形ばかりで心のこもらない事業をこなしてきた事もあったかもしれません。その結果、少しずつ自分の心を殺していったようなものです。どんな言葉でも心の奥底まで届かない、何をしてもらっても動かず感謝の心の無い人形のように日々を過ごしているようでした。
 しかし、今までを思い返してみると、全ては人に支えられ世話になり、自分の人生が成り立っていた事に改めて気づくのです。生まれてきた事も、ここまで無事に育ってきた事も、楽しかった事、つらかった事、青年会議所に入会し様々な出会いと経験を得て学んだ事、全ては周囲の方々のおかげなのです。人と交わる事を恐れていては何も得るものは無いのです。
この気づきを得ると同時に、これまでの自分への怒りと、自分自身への変化を望む熱い想いが沸々と湧いてきます。こんな生き方ではいけない。このままでは周りの人達に恩返しをし、幸せになっていただく事が出来ない。自分自身が幸せになる事も出来ない、と。
 今までの自分とは大きく変わります。恩知らずな人生を反省し、多くの人と触れ合い、近づき、共感し、これまで人から受けた御恩をお返ししていきたいのです。逃げたい気持ちも、恐れもあります。ためらう事も、戸惑う事もあるでしょう。しかし、そんな心を奮い立たせ、揺り動かし、目覚めさせようとしてくれるのは、やはり人と人との関わり合いなのです。ここを乗り越えてこそ、自身の成長に繋がり、周囲の人達への本当の恩返しとなり、ひいては大垣青年会議所の目的である日本及び世界の繁栄と平和に寄与する事になるのです。
過ちては改むるに憚ること勿れ。と言います。今までの自分を変え、真摯に活動に取り組みます。

 

理想の社会へ向けて

 私達が住む地域にとって、青年会議所が持つ崇高な目的が達成された地域とはどんな姿なのでしょうか。理想としているみらいとは具体的にどんな形で有ればよいのでしょうか。
 人口が増加しているか。企業が集積し、税収は増加しているか。子供達が安心して暮らせる地域なのか。
 人にはそれぞれ理想が有り、先に挙げた具体像に間違いは有りません。全てかなえるべき理想であり、到達すべき目標です。しかし、その理想を実現するために必要なものはやはり人です。社会は人の集まりで成り立っており、他人との関係を抜きにしては全ての理想は語れません。どんな理想を持ち夢を語ったとしても、それを成立させるのはやはり人としての成熟が欠かせないのです。
 では、人として成熟するには何が必要でしょうか。お互いを思いやれる優しさ。円滑に人間関係を継続するための礼節。大きな目的を達成するために綿密な計画を練り上げる緻密さ。実際に実行に移し、やり遂げ目的を達成できる行動力。これらを持ち合わせたのが成熟した人間である「人財」であり、必要とされる全ては他人との関わり合いによって学ぶ事が出来るのです。その関係性が深ければ深いほど、濃密であればあるほど、磨かれ成長する事が出来るのです。
JCが青年としての最後の学び舎と言われる理由はここにあるのです。全ては青年会議所での活動で学ぶ事が出来、地域としての理想像を実現し支えていくのは青年会議所会員である私達でしか成し得ない事なのです。
改めて青年会議所が地域にとって無くてはならない存在である事とその意義を認識するとともに、自らが所属している事を誇らしく思います。

 

地域のみらいへの愛

 地域にとって必要不可欠な存在である青年会議所ですが、単年度制では達成し得ない目的を果たすため複数年度にわたって事業を行う最重点事業制度を持ち、その時代に求められた要望を最も適した事業で実現するため様々な活動を行ってきました。
特に昨年度は、2012年から続く「美しい『田園都市』西美濃へ発進 ~未来の西美濃クリエーション~」の指針の下に活動してきた最終年度として、これまでの事業の検証と次の最重点事業指針「真の民主主義社会の確立」を策定しました。地方を真の意味で創生させるには、自分達が住むまちを愛し、一番よく知る地域住民一人ひとりが主体性を持ってまちの将来を考え、積極的にまちづくりに参画する人となる事が必要です。さらにはまちの活性化の為に活動するコミュニティが互いの特色を生かし、補完し合いながら活動し発信していく事により繋がりあい、より大きなうねりとなって地方を活性化する呼び水となるのです。大垣青年会議所は上記に述べたように、地域住民が主役となってまちづくりに参画していく「自律」と、西美濃を愛する人々の活発な交流による多様な主体が協働し、地域を支える「共助」を二つの柱として活動していく事を目指す事としました。
 これまでも私達はみらいの西美濃がどうあるべきかを真剣に考え、地元との関係性を深め、地域住民に認知して頂き、様々な協力を受け、恩を積み重ねた歴史のうえで情熱を持って活動してきました。地域にはそれぞれに夢を持ち、地域に住まう様々な人がいます。日々の経済活動に邁進する企業、理想に燃えるNPO、みらいのために若者を教育する学校、公僕として地元地域住民へのサービスを心掛ける行政、毎日を暮らす住民。もちろんこの西美濃でも、皆が、形は違えど、情熱の大小はあれど、自分達の地域が良くあってほしい、良くしたいという想いを必ず持っています。皆が同じ想いを持っているのであれば、その想いを少しでも多く繋ぎあわせる事により、自らが愛する地域となるための推進力となるはずです。
青年会議所こそがコミュニティネットワークの中心となり得るとの自覚を持つべきであり、それは行政枠を超えた範囲を活動エリアとして持ち、地元に根差した私達に最も求められているまちづくりの役割です。今年度はまちづくりの中心に位置する存在である団体との自覚を再認識するとともに、事業を通じて地域の想いを集約し、企業、NPO、経済団体、学校、諸団体、行政とのコミュニティネットワークのさらなる構築を目指します。
 また、地域住民が主役となったまちづくりの手法の一つとして続けている「まちづくりコンテスト」を今年度も開催します。年々進化を遂げている事業でありますが、コミュニティネットワークを利用してさらなる発展を遂げると共に、青年会議所としても将来を見据え新たな手法で多くの地元企業からの協力を仰ぎ、地域住民のまちづくりに対する参画意識の醸成に努めます。

 

西美濃地域の魅力発信

 大垣青年会議所はこの西美濃地域をひとつの圏域としてとらえ、その枠組みを行政主体ではなく民間から推進するため、様々な活動を行ってきました。その活動の中で、住民が主役のまちづくりの一環として住民の地域活性化に対するアイデアを募集する「まちづくりコンテスト」を継続して行ってきました。これまでには子供達が地域に対する歴史と文化にふれあい理解を深める「竹水鉄砲合戦」、自らが住まう地域を安全安心に暮らせるまちにしたいと願う「ブルーライト設置」、バラエティに富んだ歴史遺産を多く持ち観光に値する地域として西美濃遺産周遊ルートを提案する「西美濃共和国お泊りでお得プラン」などが提案され、現実的な企画の開催や、行政からの注目を浴び実現に向けての動きがあるなど、確実に実績を積み上げると共に地域住民への浸透を図っています。その中から生まれた「ツール・ド・西美濃」の第2回大会が昨年度開催されました。西美濃各地域の風土を生かし、魅力を全国に発信するという趣旨に賛同頂き、2市9町のみならず、地域住民、各種企業、NPO団体など多くの方々に協力頂く事が出来、各地のコミュニティを繋げるという大きな目的を達成する事が出来ました。まさに第2回の開催趣旨である西美濃地域を結んだ『輪』をさらに広げ、地域の心が一つとなった『和』へとつながる事業となりました。
 第3回となる今年度は事業をさらに発展させ、より地域の魅力を日本全国を対象とした広範囲に、より多くの人に発信すべく、精力的に取り組んでいかねばなりません。
 「ツール・ド・西美濃」の本来の趣旨は、西美濃地域の発展を願う地域住民の要望に応え、2市9町の行政と手を結ぶと共に、この旗印を通じ小さなコミュニティとの連携を重ね、地域の広域での大きなコミュニティネットワークの構築を目指す事でした。次はこの連携から将来の展望を見据え、より進んだ形へと発展させる事が大垣青年会議所として望まれる事であると考えます。

 

仲間への想い

 「人生は短い。人間に与えられた時間は、束の間の虹のごとくである。」
ローマ帝政初期の哲学者セネカの言葉です。
 人は皆、忙しい毎日を送っています。平等に与えられた時間の中、仕事があり、家庭があり、プライベートの時間を確保し、貴重な時間をねん出して自らの意思で青年会議所活動に邁進しています。
 私達がそこまでして毎日青年会議所活動に取り組むのは何故なのでしょうか。きっかけは人それぞれあるにせよ、根底には青年会議所での成長を実感しているからではないでしょうか。修練に耐え、奉仕活動を行い、友情を得る事によって自らの器を大きくし、人間として成長する事も出来るでしょう。自らの理想と情熱を持って社会の為に、会社の為に、家族の為に貢献し、自らの住むまちを良くするための活動を行う事も出来るでしょう。そして見守ってくれている周囲の人達もその成長と情熱を感じ、さらに高みに上っていく事を待ち望んでいるからこそ、送り出し協力してくれるのではないでしょうか。
 また、活動してきた中で受けた恩を感じているからではないでしょうか。ここまで成長してきたのは自分一人では無い事、青年会議所から受けた恩、お世話になった先輩からの恩、地域の人に賛同をもらい協力していただいた恩。様々に受けてきた恩を感じ、感謝しているからではないでしょうか。
自らの心に再度問い質してほしいのです。活動している理由を。見つめ直してほしいのです。活動してきた中で得たものを。受けてきた恩を。
その想いが明確になり人に伝える事さえ出来れば、必ずやその姿に共感を覚え、多くの仲間を得る事が出来るでしょう。また自らの情熱を再認識し、互いに語り合いさらに大きく燃やす事が出来れば、その熱意は自分だけではなく仲間にも伝播させる事が出来るはずです。
 想いと情熱を共感でき志を高く持つ仲間を一人でも多く増やし、共に活動する事が出来れば、互いに助け合い切磋琢磨し合う機会も増え、自己を大きく成長させる事が出来ます。また、組織を存続、繁栄させ次代へと繋ぐ事が、今まで受けた恩に感謝し、お返しする事にもなるのです。刺激し合い、互いに成長する仲間が増えれば、きっと自分達の望む理想の社会へと変革する事が出来ると確信しています。青年の真摯な情熱を集結してこそ、本来の目的である世界の繁栄と平和に寄与する事が出来、自分達の理想に近づく事が出来るのです。
 自らの想いと情熱を伝えましょう。地域の為に、自分自身の成長の為に。恩返しをしましょう。今までお世話になった人達に想いを馳せて。そして青年会議所活動での感動と楽しさを一人でも多くの人に分かち合いましょう。

 

将来を担う子供達へ

 課題先進国といわれる立場の日本において、最も重要視されている問題として人口減少があげられます。一昔前の少子高齢化という言葉で表現された時代はとうに過ぎ去り、すでに地方では高齢者への介護施設が供給過多になるほど切実な状況となっています。
 そんな中でも、みらいを見据える青年会議所として活動すべきなのは、次代を支える子供達の育成だと言えるでしょう。今現在直面している様々な問題の解決に我々大人が立ち向かうのは当然の事ながら、将来を担う子供達の明るく健全な成長のために尽力する事こそ、我々がなすべき事だと断言できます。現代の日本では、核家族化が当然の姿となり、古来から日本で大切にされてきた躾や道徳などの価値観が失われつつあります。親と子の関係性を見つめ直し、子供に伝えるべき価値観を再定義して拠り所とする事により、親としても一人の人間としても子供達に恥ずかしくない大人へと成長出来るのです。また、私達がこうやって生きていられるのも、親から多大な恩を受けてきたからなのです。生まれてすぐに歩く事も出来ない動物は人間だけだと言います。数ある生き物の中で、産み落とされた瞬間から一番親に面倒をかけるのにはそれだけの意味が有り、一番親に感謝出来る存在であるからこそ、万物の霊長でいる事を許されているのかもしれません。

 私達大人が姿勢を正し、その背中を見る子供達が健全に育つ事で、何世代にも渡り連なってきた恩に報いる恩送りとなり、将来の日本を、将来の西美濃を支えてくれる大きな力となってくれるのです。

 

青年とのネットワーク推進

 ここ西美濃でも各種青年団体が各々の理想の実現に向けて活動しています。組織や形は違えど、自らが住む地元地域を愛し、盛り上げ、発展させていきたいという想いは同じです。大垣青年会議所も長きにわたり、つどい協議会という組織を通じて各種青年団体との連携を構築し、万灯流しや十万石ふる里祭りなどの行事を通じて友情を深め合ってきました。
 しかしまだまだ互いを理解する機会を増やし、友情を深める事が大切だと考えます。一番世代が近く想いを共有出来るであろう地元青年団体と、将来の西美濃に対して理想と夢を語り合い、互いに手を携え協働し、西美濃地域の発展の為に大きく寄与する事が出来るのです。
 また、日本青年会議所や地区協議会、岐阜ブロック協議会など青年会議所内においても、他の組織との連携がますます必要とされる時代です。自分達の組織だけでは知り得ない、学び得ない機会が多く存在しています。その学びの結果、普段の活動では気づかない仲間への感謝、先輩が繋げ積み上げてきてくれた歴史を違った視点でとらえ直し、感謝する機会となるはずです。大いに他団体との交流の機会を生かし、学びと成長の機会へとしなければなりません。

 

変革への勇気

 2014年末に公益社団法人格を取得し、名実ともに地域住民の為に事業を行う公益性を求められる事になりました。もちろんこれまでの活動と想いは何ら変わる事もなく、これまでと同様自分達の信念に従って信ずる道を進み、明るい豊かな社会を築くという理想の為に活動するのみではありますが、そのためには当然組織として円滑な運営が行われる必要があり、些細な問題の為に貴重な労力と時間を割かれる事は絶対に避けなければいけません。大垣青年会議所は、これまでの歴史と伝統の中でノウハウを蓄積し、事業を行うために素晴らしいシステムを構築してきました。しかし、今までと同じ事を繰り返しただけでは成長はありません。必要なところは残し、変えるべきところは勇気を持って変更し、より効率化と組織内の連携を図らねばなりません。その結果、会員が個々の能力と情熱を十分に発揮し、地域の為に最大限の効果を発揮し、真の意味で貢献出来る組織となるのです。
 また、現代において時代の変化は急激であり、特に情報伝達においては数年前には想像すらし得なかった現状にあります。時代をけん引すべき青年会議所としては、より効果的な広報活動を模索し、広く自分達の活動内容を地域に知らしめる必要がある事は論を待ちません。
 今年度は組織内での連携強化と効率化を図り、一丸となって自分達の活動を周囲の人に伝え、価値観を共有し理解して頂ける多くの賛同者を得る活動を行います。

 

おわりに

 人生は決断の連続だと言われます。今年度、自分自身の人生を見つめ直し、冒頭に大きな決断をしました。今の自分にとって最も必要であり、重要であると考えたからですが、これが自分だけに必要な事だとは思いません。今まで生きてきた人生で、誰しもが多くの人の世話になり、恩を受けながらここまで成長してきました。今まで受けてきた恩を知り、自分がどれだけ幸せなのか、どれだけ多くの人に支えられているかを感謝し報いる事で、私達は人間的に成長し地域のリーダーとして求められる存在、光り輝く真のJAYCEEとなれるのです。また、これは人のみならず、大垣青年会議所という組織も同様です。今まで64年間の歴史を積み重ねてこられたのは、地域に根差した活動へご理解を頂き、地域の皆様から恩を受けてきたからこそ、組織として継続し会員も続ける事が出来たのであり、先輩方がその恩をお返ししてきたからなのは間違いありません。
 会員一人ひとりが真のJAYCEEとなれば、その集まりである組織は光を集めさらなる輝きを放つでしょう。その存在は必ずや、地域に明るいみらいを指し示す力強い道標となり、西美濃を世界に輝く唯一無二の地域となる事が出来るのです。
すべての罪悪以上の悪は、恩知らずという事であると言います。ここまで生きてきた自分の人生に感謝の念を持ち、報恩の心で活動していきましょう。自らの光でこの西美濃を光輝を放つ地域とするために。

 

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