理事長所信

2023年度(第72期)基本方針

  • 1.真の平和に目覚めるための会員資質の向上
  • 2.魅力ある組織と会員による会員拡大
  • 3.持続可能な西美濃連携の新たな推進
  • 4.同志との繋がりを活かした組織力の向上
  • 5.会員一丸となっての組織変革
  • 【はじめに】

    2020年頃から、世界は時代のうねりに巻き込まれて社会情勢が大きく変化しました。
    当たり前に過ごしていた生活が当たり前では無くなった今、我々には何が必要なのでしょうか。ニュースで流れる紛争や難民、世界中で多発している自然災害、飢えや貧困に苦しむ人たち。女性だとか男性だとか日本人だから、外国人だからと生き方が決まってしまう人たち。自分らしく自由に生きるためには何ができるのでしょうか。それは世界の現状や我が国の現状をまずは知ることであると私は考えます。

    今、メジャーリーグで大活躍している野球選手の大谷翔平選手を多くの皆さんはご存じだと思います。連日、ニュースやインターネットで活躍を目にする彼は日本だけではなく、世界を「二刀流」で賑やかせています。世界の常識をたった一人で覆し、夢や希望を与えてくれている彼のように、我々もこの時代を変革するという気概が必要であり、明るい豊かな社会へと導く団体となることが我々の使命だと考えます。そのためには原点に立ち返り、自分たちの生活や行動を見直すことが、解決の第一歩となるのではないでしょうか。
    いつの時代も人が時代を創っているのです。

    我々が所属している青年会議所の起源について見てみると、1910年にアメリカのヘンリー・ギッセンバイヤー・Jrがハーキュリアン・ダンス・クラブを設立したことから始まります。約100年前のスペイン風邪の流行や第一次世界大戦の影響で混沌とした時代を背景に、自由な社会と経済発展を実現し、新しい社会をリードするに相応しい人材の育成を目的として、ギッセンバイヤーは、当時、周りにいた青年たちの才能と情熱を高く評価していて、もし彼らに適切なリソースがあれば、より良い変化を創造できるという想いを巡らせました。その手段を提供するために、1915年、ギッセンバイヤーはセントルイス地域に初の青年活動団体を創立しました。一地域の活動として始まった運動は、たちまち熱狂の渦となって広がりました。アメリカ全土から、やがて世界各国から若者が参加して、それぞれ、各地域、各国、国際規模で、ポジティブな影響力を生み出し、青年活動から世界平和実現という大きく崇高な目的となりました。

    我が国も第二次世界大戦敗戦後の1949年に東京青年会議所を始めとして全国各地でも青年会議所設立の動きが広がり、1952年2月に西美濃地域の35名の青年が結集し、地域経済発展から日本経済を再建するために大垣青年会議所が設立されました。それから71年もの歴史を紡いでくることができたのは、様々な苦難を乗り越え、この西美濃地域と共に手を携えて歴史と伝統を繋いでこられた先輩諸兄の存在があるからです。

    一人の想いが周りに伝播し、やがて大きな運動を起こすきっかけになると私は考えます。自分を見つめ直し、地域や国を想い、世界をより良い未来にするために、いつの時代も原点を忘れてはいけません。

    【明るい豊かな社会へ】世界の現状①

    2020年初頭から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的流行によって我々の生活が大きく変化しました。これは約100年前に世界的に流行したスペイン風邪の時とワクチン以外は、酷似した状況だとされています。最初の新型コロナウイルス感染者が現れた当時は、その得体の知れない脅威に対策を講じることは正しいことだとは思いますが、本当に3年もの間、自粛や制限等をするべきものだったのでしょうか。またワクチンについても、どこまでの変異株に効くのかは明確にならないまま回数接種だけが奨励されていて、今のところはっきりとしたことは発表されていませんが、医学者の間でもかなり意見が分かれ始めているというのが現状です。ワクチンによる副反応の報告事例が増えていることや変異株に対するワクチン効果に疑念があるとして、ワクチン接種を中止する病院なども現れています。すべては自己責任で行動を判断しなくてはならない状況で他人がどう言ったからではなく、自分が納得いく行動を取ることが最も重要になると私は改めて感じさせられました。皆が接種するから接種してみたといった軽い考えでは後になって、とてつもない後悔に見舞われる可能性もあります。自分の命が終わってしまっては意味がありません。

    次々と新たな問題が出ている中で、ニュースやマスメディアの情報だけで行動を起こすことや各々が他人の意見に安易に賛同することをやめて、人と協力はしても、むやみやたらと意見や態度を同じにしないことが今の日本には必要だと考えます。本質を見抜き、歴史から学び、常に時代の変化を意識して、我々にとって最も幸せであり経済を発展させられる方法を考える必要があります。そして、「権威や権力、古い習慣に屈しない反骨心」を持って歴史を学び、「一人ひとりの知恵を集め、尊重し、助け合う、思いやりのある和の心」を持って、新たな社会価値の創造を目指して、この時代を生き抜いていくことができれば地域が発展し我が国の明るい未来へと繋がると信じています。

    【明るい豊かな社会へ】世界の現状②

    2021年に行われた世界経済フォーラムでは今の社会問題を解決するための「グレート・リセット」をテーマに、貧困格差の拡大、自然災害、第4次産業革命によるIoTや人工知能について、現在における経済や社会を見直し、構築し直す動きがすでに始まっていて我々は新たな局面を迎えています。

    更には2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵攻が起こりました。これは決して遠い国での出来事と受け止めていてはいけません。なぜなら、我が国も戦争と敗戦を経験した過去があるからです。戦後の焼け野原だった日本は奇跡の復興を果たしましたが、未だに完全な独立には至っていないと感じます。その理由は国民一人ひとりの戦争と敗戦国の歴史や国防に対する意識やリテラシーが不足しているからです。戦争は起こしても起こされてもいけないことではありますが、果たして今の日本が仮に戦争に巻き込まれたとするならば、自分たちの力だけで国を守れるのでしょうか。

    日本は海洋国家であり、北方領土や沖縄米軍基地、横須賀米軍基地、尖閣諸島と多くの問題があります。戦後から約80年経過したこの国ですが、我が国はいつまで「無謀な戦争をしかけた敗戦国」のままでいなければいけないのでしょうか。このような歴史観は戦時中や戦後にGHQが日本に対して行った「WGIP」という心理戦の影響が今なお残っていると言われています。このことに関しては戦後から現代までの歴史は戦勝国にとって都合の良いものとして作られた歴史であると言えます。こうした話になると「右翼だ」とか「陰謀論者だ」などといった意見をする人もいるかもしれませんが、それこそがGHQによるマインドコントロールだと言えるのではないでしょうか。平和と言うのは大切ですが、上辺だけの平和ではなく国民一人ひとりが本当の平和を改めて考えなければいけません。我が国がもう二度と敗戦国とならないために、そして自分や家族が安心で安全に生活することができる真の平和へと議論を進めていかなければいけません。

    【真の平和に目覚めるための会員資質の向上】】

    青年会議所とはどのような団体なのでしょうか。青年会議所は法の下の統治、自由経済、人権の尊重を念頭に熱い想いを持って地域に根差し、我が国と世界の繁栄と平和の実現を目的に行動しなければいけません。混沌とした時代の状況を今一度見つめ直し、次代を担う子どもたちや子孫が将来、安心安全で豊かな生活を送るためにできること、するべきことを真剣に考えてそこに向かって全力で変革を起こし、実現させることができるように導くリーダーでなければいけません。どこに行っても、誰と会っても恥ずかしくない青年であるために自らを律することができるJAYCEEとして「品格のある青年」となることが必要です。また、人を思いやり私利私欲に捉われず、儀礼を守り、道理を知って友情に厚く、誠実であることを意識して人徳を磨くことで外面と内面を鍛えなければいけません。我が国が行おうとしていることが本当に地域や国のためにするべきことなのかを検討し、地域の発展に必要なことが何であるかを地域住民一人ひとりが能動的に考えることができる機会を作り、まちづくりを行っていくことで自己の成長へと繋げていきましょう。

    大垣青年会議所の現状は近年在籍年数が短く、経験年数の浅い会員が多くを占めている現状がありますが、組織力をより高めて運動を推進していくには、在籍する会員一人ひとりが資質を高め、会員相互で能力を引き出し合うことで、その価値を最大化していく必要があると考えます。そのためには、トップダウン型のリーダーシップのみだけではなく、周りに力を与え、周囲を巻き込み、想いを拡げて共感力を持つリーダーシップが必要になってくると私は考えます。これからの時代のリーダーとして持つべき思考や行動習慣、リーダーシップを学ぶ機会を作り、まずは我々の意識を改革していきましょう。

    【魅力ある組織と会員による会員拡大】

    JC運動の根源は会員拡大運動だと言われています。真の平和を目指す組織になることで社会に必要とされ、我々自身が魅力あるメンバーに変わり、全会員が一丸となり熱意を持って会員拡大を行うことで想いが伝播し同志が増えていくと信じています。また、近年入会数が増えない要因として、人口減少などの影響もあります。事業を行うことに追われ本来するべき事業が行えず、マンネリ化して自己満足の事業を行ってしまっているのではないでしょうか。更には若者の考え方の変化による影響などもあるかもしれませが、JCの魅力のひとつである人脈が増え外部との繋がりが増えるということに、そもそも興味がない若者もいると考えられます。その一方でまちづくりに興味がある若者が増えているという統計もあります。そのため、まちづくりについての積極的な交流ができるような機会を創出して、イベント屋のような事業ではなく地域の発展に寄与する事業を行い大垣青年会議所の魅力を全会員で発信していきましょう。また、青年会議所は40歳で卒業となってしまうので、人と人との出会いと繋がりを大切にして、この限られた時間を尊いものだと認識し、私生活と仕事とJC活動を分けて考えるのではなく、自己成長のための同じ時間だと捉えることが必要です。そして、掛け替えのない仲間を一人でも多く増やすために、まずは我々の活動や運動に誇りを持ち会員資質の向上を目指し、そうした誇りと熱い想いを伝播させて、この西美濃地域を変革していきましょう。

    【持続可能な西美濃連携の新たな推進】

    我々の活動地域は地方都市ですが、これだけ上場企業がある地域は全国でも珍しく、高校生がほぼ100%地元企業へ就職できる恵まれた地域であります。交通インフラなどの問題もまだまだありますが、近隣に名古屋市などの都市圏もあり、生活する上では便利な地域であります。恵まれた地域であるがゆえに現状維持を求める住民が多い点が課題であると考えます。大垣青年会議所は西美濃全域が同じ目的に向かって歩んでいく礎を築くために、2010年代運動指針「『地球的価値』の田園都市構想~西美濃の心がひとつになる瞬間へ~」を地域みらいビジョンとして掲げ、2022年度に2023年~2025年の3年間における運動の方向性を示す短期ビジョンである「最重点ビジョン」を『持続可能なまち西美濃』~住み続けられるまちづくりを目指して~、事業内容として「災害を見据えた広域連携に向けた取り組み」を策定しました。昨今の防災の観点から災害時に避難場所の確保ができていない可能性のある地域があるなど、自分たちの自治区だけではなく西美濃地域が連携して災害に対する危機感を持ち、過去の震災などの教訓から有事の際に迅速な対応ができるような仕組みづくりを検討していく必要があります。

    また、2013年度の「私が夢みるまちづくりコンテスト」から生まれ、2014年度よりスタートした「ツール・ド・西美濃」は、本年度10回目を迎えます。地域に必要とされてきた事業ではありますが、運営に関しては大垣青年会議所が主体となっており、住民が主役のまちづくりによる西美濃地域の広域連携という本来の目的を未だ達成できていない部分もあります。10回目の節目を迎えるにあたり、2市9町の関係者の皆様と一緒に「ツール・ド・西美濃」を見直し、判断をする必要があります。地域住民や行政と連携し、西美濃地域の永続的発展の実現に向けて、この地域をより良くするために未来を創造して革新をしていきましょう。

    【同志との繋がりを活かした組織力の向上】

    青年会議所での魅力の1つとして、多くの繋がりがあることです。全国各地に同じ志を持った仲間がいるため、様々な事業に参加する機会があるので自身の発展や組織力の向上への機会とすることができます。近年の社会情勢で思うように事業が開催されないことや参加する機会が減っている現状があることから、時代の変化と共に、我々の活動方法も見直す必要があります。多くの事業等でWEBやハイブリッド開催が行われるようになりました。様々な理由で参加ができない人が参加する機会になることは良いことだとは思いますが、それだけで安易にWEB参加を決めるとリアルでその場でしか得られない機会を損失していることもあるかもしれません。WEBやハイブリッド開催の方法も進化してメタバースなどを活用する会議などが近い将来、可能になると考えられる中で、合理化することも必要ですが人と人とのリアルの繋がりも大切にして欲しいと考えます。そして今後、日本青年会議所、東海地区協議会、岐阜ブロック協議会の運営などを担う機会があった際に、きちんと対応できるように組織を作っていかなければいけません。改めて出向の可能性や未来を知ることで組織の可能性を考えていく必要があります。更には志を持った仲間が「明るい豊かな社会の実現」に向けて活動を行っている機会に触れることで多くの学びが得られるチャンスと捉え、積極的に参加、協力を行う必要があります。さらに地元の青年団体である大垣市青年のつどい協議会との協働をすることで、青年会議所とは違った友情や学びを得る機会となります。

    また、三信条にあるフレンドシップは世界との友情でもあります。単にLOM内でのなれ合いが青年会議所の目指している友情ではありません。大垣青年会議所は台湾の社團法人花蓮國際青年商會と姉妹締結をしており、「国交」がないにも関わらず、友情を築くことができる機会を得ることで自己の成長へと繋げることができますし、世界との交流をはかり日本を客観的な角度から見ることで我々の置かれた状況を改めて学ぶ機会にしましょう。

    【会員一丸となっての組織変革】

    歴史ある大垣青年会議所が72年目を迎え、今もなお、青年会議所活動や運動を行えているのは先輩諸兄が情熱を持って、この組織を正確かつ円滑な組織運営と共に継承してこられたからであると考えます。しかし、現状は会員数が減少し、組織運営が厳しさを増しています。持続可能な組織となるためには人数だけでなく性別や職業など多種多様な人財が必要だと考えます。また、多様な価値観によって議論をして事業構築を行うことでより運動の質が向上し、多様な人財が集って会員相互で高め合うことができる魅力的な組織になり、更なる会員拡大にも繋がります。

    そして、多様な人財を受け入れていくためには組織の在り方についても考える必要があります。岐阜県内の青年会議所において公益社団法人から一般社団法人への法人格移行が進む中、大垣青年会議所は公益社団法人のままでいいのか、持続可能な組織となるためには変えてはいけないものと変えなければいけないものを検討していかなければいけません。会員一人ひとりが当事者意識を持って大垣青年会議所について改めて考え、組織変革を進めていきましょう。

    【明るい未来を創造する】

    2017年度にJCに入会をして事業を継承したばかりの私は自分の生活のことで精一杯でしたが、様々な事業に参加させて頂くことで考え方が変わりました。入会してから7年の間に父や母、そして大事な息子の死を経験し、命の大切さ、時間の大切さも学びました。そのような経験があった中でも、先輩や同期、多くの仲間の支えがあって前を向けている自分がいると感じています。

    私は在日韓国人の父と日本人の母との間に生まれました。父は自分が小さい頃に韓国人として差別を受けた経験を私によく話してくれました。私は戦後の頃の在日朝鮮人、韓国人の方々の苦労を知っている訳ではないですし、自分がハーフだからということで特別苦労をして育ってきたわけではありません。昔は、在日朝鮮人、韓国人への差別がひどかったという話を聞くことがありますが、今の教育に日韓併合時代と戦後の正しい知識がないため、これは差別という単純な問題ではないと言えます。前項の文章にあるように、これがGHQによる戦後の対立を煽るような作られた歴史の影響であるならば、いつまでも反日感情や第三国人などと啀み合っていて良いのでしょうか。まだまだ我が国は発展途上であると私は思います。ひいてはアジア地域の単位で見てもまだまだ発展途上であると考えられます。今こそアジア地域が一つになり、自由な貿易を行うことで経済を発展させ、世界を変える先駆けになってほしいと私は願っています。

    私はこの国で第三国人と言われながらも反骨心を持ち時代を切り開いてきた朝鮮人、韓国人の方々に尊敬と誇りを持ち、この西美濃地域に生まれ、周りに迷惑をかけながらもこうして育てて頂いた温かい心を持った我が国にも感謝し誇りを持っています。そして、第二次世界大戦で敗戦を経験した我が国も、もう二度と敗戦を経験しないために同じ目的を持ち、サムライのような反骨心と和の心を持って、この国の未来を真の平和に導く先駆者になるために一人ひとりが覚醒しなければいけません。

    未だに続く差別問題や同和問題といった社会の問題から目を背けずにまずは知ろうとすることが大切であると考えます。平和に見える世の中の本当の状況を把握し、真の平和に向けて各々が自分の人生を自分はどう生きたいかを考え、原点に立ち返り、自分のルーツを大切にしましょう。大垣青年会議所での活動や運動を仲間と共に取り組み、それぞれが夢を真剣に語り合って自分の想い描く姿を想像し前へと進んでいきましょう。その姿を次代に伝え、いつか来る真の平和な世の中を夢見て時代を変革するために反骨心と和の心を持って、西美濃地域の永続的発展の実現と我が国の明るい豊かな未来を創造していきましょう。

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