2024年度(第73期)基本方針
- 1.己を律することによる会員資質の向上
- 2.魅力あふれる JAYCEE による全員拡大
- 3.新たな広域連携の構築
- 4.ネットワークを最大限に活かした青年会議所運動
- 5.未来を見据えた組織運営
【はじめに】
「あなたは何のためにJCをしていますか。」
この問いに自信を持って答えられる会員がどれほどいるでしょうか。明るい豊かな社会の実現を目指して運動を行っている我々は、この問いに対して、おろそかになっていないでしょうか。
大垣青年会議所は1952年2月、35名の熱き想いを持った青年によって設立されました。全国679あるLOMの中で25番目に設立されたという事実は、「地方経済の発展による日本経済の再建は我々 青年の仕事である」という覚悟のもと、35名の先輩諸兄がどれほどの決意と情熱を持って行動されたのかを今の我々に教えてくれています。さまざまな困難を乗り越えるために、必死に考え、汗を流し、地域 を想い、そして仲間を想い活動を続けてこられたからこそ、72年という長い間、大垣青年会議所が存在していることを忘れてはいけません。長きに亘って、撓まざる決意と逞しき情熱を持って多くの苦難を克 服してこられた先輩諸兄に改めて感謝すると共に、この時代を生きる我々JAYCEEは、この歴史を次代へと繋げていく責任を果たさなければなりません。
青年会議所は、明るい豊かな社会の実現を目指し、「修練・奉仕・友情」の三信条のもと、活動しています。私自身、入会して9年間JAYCEEとして、私なりに三信条の意味を考えながら活動してきました。 振り返れば、逃げたくなるような壁も何とかしようと努力し、時には共に活動する仲間から厳しくも愛ある叱咤激励をして頂きました。9年間のJC生活において、少し無理をしながらも活動をしてこられたのは、 より良い自分になりたいという想いと共に、必ずより良い自分になると自分自身を信じてきたからです。そして、その努力は結果として自分だけでなく、地域や仲間に対してもより良い影響を与えることができる ことに気付かされました。JAYCEEとして己を律し、修練を積むことで、より良い運動へと繋がり、より良い地域や社会を創造することができ、それが周囲に伝播し、より良い友情を築くことができるのです。JCは 努力すればするほど、必ず見返りをくれる場所です。より良い自分になるために、より良い地域や社会を創造するために、より良い友情を築くために、明るい豊かな社会の実現に向け、変化を恐れず一歩を踏み出しましょう。
【己を律し、あらゆる機会を成長へと導く】
JCI Mission
To provide leadership development opportunities that empower young people to create positive change.
青年会議所は、青年が社会により良い変化をもたらすために、リーダーシップの開発と成長の機会を提供する。
青年会議所はいつの時代も己を律し、自らの成長を求める場所です。JCIミッションにある通り、青年会議所は役職の有無に関係なく、日々の活動や事業への参加、出向先において、さまざまな機会を平等に提供してくれます。 その機会に対し自分自身で目的を見出し、前向きに捉えることで、成長することができるのです。つまり、JCのあらゆる機会にどう接するか、これが一番大切なのです。今までのJC生活を振り返ってみて下さい。 「経験したことがある」、「自分には関係ない」などといった自分の価値観だけで決めつけ、機会を自ら逃してはいないでしょうか。青年会議所は、地域に根差した運動を展開し、明るい豊かな社会の実現を目指す団体です。 その一員である我々JAYCEEが自分の価値観だけで物事を判断していては、地域や住民から共感される運動を行うことはできませんし、明るい豊かな社会の実現など、ただの理想で終わってしまいます。 多様性の時代と言われる今を生きるJAYCEEとして、自分の価値観を見つめ直すと共に、JCのあらゆる機会を成長の場と捉え、目的を持って活動していきましょう。 私は、全会員がより良い自分になることができれば、大垣青年会議所は今以上により魅力あふれる活力ある組織へと進化できると信じています。 より魅力あふれる大垣青年会議所へと進化した時、地域や住民から共感を得られる、社会により良い変化をもたらす運動を展開することができるでしょう。
青年会議所には「修練・奉仕・友情」の三信条があります。近年、大垣青年会議所は昔と比べ厳しくなくなったと言われます。 実際に私自身も入会当時と比較すれば、そう感じることがあります。修練を積む場所である青年会議所において、どれだけ自分を律することができているでしょうか。 自分のことは棚に上げる、他人には無関心、自分の価値観だけで発言する、こんなことをしていて、己を律して行動できていると言えるでしょうか。 そんな行動をしていて、奉仕の心を持ってより良い社会を築けますか。そんな行動をしていて、一生涯を共にするような友情を築けますか。今からでも遅くない。 自分を律して行動していこう。そして、社会に奉仕し、真の友情を築いていきましょう。
【青年会議所運動の根幹】
大垣青年会議所は向こう5年間で27名が卒業していきます。今年度は40名の正会員が在籍しており、まだ人的にも財政的にもさまざまな事業を実施し、活動や運動を展開することができています。 しかしながら、たった5年後を見た時、現在の会員数から半減するという現実が目前に迫っています。会員数の減少は、組織力の低下であり、運動の発信力の低下を意味します。 この現実は会員拡大が急務であり、喫緊の課題であることを突き付けているのです。そのことを全会員が認識し、全員拡大の意識を持たなければ、会員拡大に成功はないでしょう。
会員拡大はJC運動そのものであると言われています。青年会議所はJC運動を通して、地域住民やパートナーの意識変革を促すと共に、運動の仕組みを創出し、より良い社会の実現を目指す団体です。 会員拡大に置き換えれば、候補者たり得る人財に対して意識変革を促すと共に、時代に合った手法を用いて、永続的に拡大運動を行っていける仕組みを創るということです。 意識変革を促すには、まず意識変革の機会を提供する我々が、青年会議所がどんな団体であり、どんな成長を遂げられるのかを自らの言葉で説明し、伝えられなければなりません。 「まちづくりを行える」、「自己成長ができる」、「たくさんの人と知り合える」のもJCの魅力ではあります。しかしながら、表面的な言葉ではなく、JAYCEEだからこそ伝えられる真の魅力を伝えていかなければなりません。 多くの同志からJCの魅力に共感を得られれば、多様な人財が集うより魅力的な活気ある大垣青年会議所となります。多様な人財が集う組織は、より多くの成長の機会をもたらすと共に、組織力も向上し、運動の発信力も高めることができます。 「JCしかない時代」から今は「JCもある時代」と言われますが、私は今も、そしてこれからも「JCしかない時代」であると信じています。 まちづくりやひとづくりを通して、地方経済の発展から日本経済の発展、更には、国際理解を通した世界平和を目指す。これだけの崇高な目的を持って活動しているのはJCしかありません。 多くの機会に接し、全会員が青年会議所の真の魅力を堂々と語り、そこに共感を呼ぶ。そんな好循環を創出し、全会員で会員拡大を行っていきましょう。
【地域の本当の声を聴き、未来への一歩とする】
大垣青年会議所は2010年代運動指針「『地球的価値』の田園都市構想~西美濃の心がひとつになる瞬間へ~」を策定し、そのためのネットワーク、ひとづくり、まちづくりを推進し、高い志を官民一体となって実現できる西美濃地域2市9町を目指し、 さまざまな運動を展開してきました。そして、その中で「住民が主役のまちづくり」を目指して2013年に実施された「私が夢見るまちづくりコンテスト」のアイデアから生まれ、2014年よりスタートした「ツール・ド・西美濃」は、昨年10年目という節目となり、 一つの区切りを迎えました。この「ツール・ド・西美濃」は山岳地域、農業地域、工業地域、住宅地域がバランスよく存在する西美濃地域2市9町のさまざまな魅力を西美濃地域内外へ発信すると共に、各行政区の枠を越えたグランドデザインを市民と共に描き、 西美濃地域が同じ目的に向かって進んでいく礎を築くことを目的に始まった大垣青年会議所にとって、一つの時代を創ったと言える素晴らしい事業でした。 改めて、この事業を共に創り上げて下さった各行政や関係各諸団体の方々、そして先輩方に感謝申し上げます。 一方で、会員数の減少や在籍年数の短い会員の増加、事業開始当時の目的を理解していた会員の卒業もあり、本来の目的を見失い、ただ事業を実施することが目的になってしまっていたのは否定できません。 今一度、なぜこの事業が生まれ、なぜこの目的を掲げたのか。「ツール・ド・西美濃」の本当の目的を全会員が理解することが必要です。本来の目的を理解することで次への新たな一歩に繋がります。 そして、「ツール・ド・西美濃」を行った 10 年というかけがえのない時間を無駄にしないために、反省すべき点を洗い出し、どう改善していくべきかを議論しなければなりません。
「ツール・ド・西美濃」が区切りを迎えた今年度を原点に立ち返える初年度として捉え、8年ぶりの開催となる「まちづくりコンテスト」を実施します。この8年間、時代は誰もが想像つかないほどのスピードで変化しました。 消費税の増税、新型コロナウイルス感染症の世界的流行、ロシアによるウクライナ侵攻、働き方改革の推進、燃料や物価の高騰、全国各地で激甚化する自然災害など、特に我々の生活に直結する多くの社会問題が存在しています。 時代が変われば、問題も変化していきます。「住民が主役のまちづくり」を目指して、まずは地域の皆様の本当の声を聴き、今後の我々の運動の方向性を見出す、そんな原点に立ち返る1年としていきます。
また、この西美濃地域にはさまざまな青年団体が存在しています。どの青年団体も地域をより良くしたいという熱い想いを持って活動しています。今年度も大垣市青年のつどい協議会の加盟団体として、共にさまざまな事業に参加・協力をして参ります。 同志との友情を団体の垣根を越えて育むと共に、交流を通して、互いに認め合い、刺激し合うことで、それぞれの団体がより良い組織へと成長できるように連携していきましょう。
【新たな広域連携の模索】
「ツール・ド・西美濃」によって推進され、より強固に構築された西美濃地域 2市9町の行政区の枠を越えた「広域連携」は、大垣青年会議所にとって、大きな財産となっています。「ツール・ド・西美濃」が終わりを迎えた今、この広域連携を失くすことなく、今まで以上に連携をはかっていかなければなりません。 大垣青年会議所が先頭に立って各地域のコミュニティーとの連携をはかり、西美濃全域にそのコミュニティーの輪を広げていく。そんな運動を展開していくことが広域連携を掲げる我々に課せられた使命であると考え、西美濃地域の可能性を信じて、新たな広域連携の形を創り上げていきましょう。
2019年に大垣青年会議所は、2010年代運動指針を恒久的な指針として「地域みらいビジョン」を策定し、2020年からの運動の方向性を定めました。そして、2022年に短期ビジョンである「最重点ビジョン」として、「災害を見据えた広域連携に向けた取り組み」を掲げました。 それに先立ち、2020年から 2021年にかけて西美濃地域2市9町の各行政と社会福祉協議会、大垣青年会議所の3者で災害時における協力体制の協定書を締結すると共に、大垣青年会議所としても青年会議所のネットワークを利用し、岐阜ブロック協議会における防災・疾病ネットワークの調印や鹿児島青年会議所との防災協定を結びました。 また、過去2年間、防災意識の向上を目的とした事業を実施し、地域住民を巻き込み、災害に対する備えや有事の際の行動計画のシミュレーションを行い、各地域や地域住民の方々からも評価を頂いています。本年度も、広域連携事業として防災に対する知識の向上と意識の変革に努めていきます。
一方で、「最重点ビジョン」の防災事業を行うだけでなく、さまざまな手法を用いて広域連携を構築することも考えなくてはなりません。今年度、「まちづくりコンテスト」を開催し、住民から頂いた貴重な声に応えるべく、広域連携へと繋がる事業を実施します。 大垣青年会議所が地域をけん引する集団であると自負するのであれば、その貴重な声を受け止め、形として残さなければなりません。各行政との連携に加え、さまざまなコミュニティーを巻き込むと共に、住民が主役のまちづくりを推進し、地域から必要とされる組織となるべく、全力で取り組んでまいります。
【青年会議所のネットワークを最大限に活かす】
今年度、大垣青年会議所は社團法人花蓮國際青年商會と姉妹締結55周年を台湾の地で迎えます。先輩諸兄から連綿と受け継がれてきた歴史を振り返ると共に、国際交流を通じた友情を育むことのできる機会に感謝をしなければなりません。 しかしながら、この機会をただの国際交流とだけ捉えて良いのでしょうか。2022年2月に起きたロシアによるウクライナ侵攻は、戦争のない時代を生きてきた私たちに大きな衝撃を与えました。 まもなく2年の月日が経過しますが、いまだ停戦や終戦の目途すら見えていません。大垣青年会議所の定款には「国際理解と親善を助長して、日本及び世界の繁栄と平和に寄与する」と示されています。 世界に目を向ければ、私たち日本人の当たり前が通用しないことが数えきれないほどあるでしょう。国の成り立ちや歴史、文化の違いから、根本的に考え方やルールが違う。そこを理解し、多様性を受け入れることが、国際理解であると考えます。 国は異なっても同じ目的を持った青年会議所の仲間であることには変わりありません。昨年度、社團法人花蓮國際青年商會との3年ぶりの対面での交流で全会員が国際交流の経験を積み、その良さを肌で感じたはずです。 社團法人花蓮國際青年商會との姉妹締結55周年の活動を通して、戦争や紛争のない平和な世界に寄与していきましょう。
また、今年度は大垣青年会議所から岐阜ブロック協議会会長を11年ぶりに輩出します。岐阜ブロック協議会の主管LOMとして、岐阜ブロック協議会の運営をLOMとしてしっかりと支援すると共に、時代に沿った運営を行っていく必要があります。 ほとんどの会員が主管LOMの経験をしていませんが、県内他LOMの運営方法や様々な事業を知ることができる絶好の機会であり、LOMにとっても、会員にとっても成長の機会と捉え、40名の力を結集して全力で支援し、岐阜の魅力を発信していきましょう。
【未来を見据えた組織のあるべき姿】
大垣青年会議所は創立から72年間、明るい豊かな社会の実現を目指して運動を行っています。青年会議所は単年度制であり、毎年与えられる役職や役割が変化する中でも、世界平和を想い、さまざまな苦難に情熱を持って立ち向かい、地域に根差した運動を展開してこられたのは、72年間で培われた組織基盤と時代に沿った円滑な組織運営があったからです。 しかしながら、現在の組織運営は会員数の減少や在籍年数の短い会員が増え、年々厳しさを増していると言わざるを得ません。その結果、これまで厳格な規律のもとで行われてきた組織運営は過去のものとなり、「今の時代に即す」という言葉だけが独り歩きしてしまい、便利で楽な方へとばかり進んでしまっています。 組織は常に変化を求められるものであり、組織に属する者はその変化に対応していかなければなりません。ですが、時代に即していれば何でも変えてしまって良いのでしょうか。 72年という輝かしい歴史があるからこそ、73年目の大垣青年会議所が存在し、活動を行えていることに気付かなければなりません。青年会議所の原点でもある会議や議論を通して、変えるべきものと変えてはいけないものを区別し、時代に即した組織のあるべき姿を全会員で創り上げていきましょう。
大垣青年会議所は明るい豊かな社会の実現を目指す団体として、自己満足から脱却し、地域住民からも認められる団体であるべきという想いのもと、2014年から公益法人格を取得し、誇りを持って活動してきました。 しかしながら、組織運営が厳しさを増すと共に、社会課題も複雑化しており、公益性や公益目的を意識するあまり、明るい豊かな社会の実現を目指す団体であるにも関わらず、公益法人格取得当初の想いが希薄になり、現実的にできる事業を行うことに終始してしまっています。 現在、県内17LOMのうち大垣青年会議所だけが公益法人格を継続している現状があります。今後も公益社団法人として誇りを持って活動していかなければなりませんが、現実を見て、時代に即した組織がどうあるべきかを考えていくことも必要です。 そのためには、なぜ公益法人格を取得したのかという経緯を学ぶと共に、何より、この問題を一部の会員だけで議論するのではなく、大垣青年会議所の問題として、全会員で議論を重ねていくことが重要です。 先入観を捨て、本当の意味でどうあるべきなのか、明るい豊かな社会の実現を目指す団体として進むべき未来を全会員で考えていきましょう。
【おわりに】
「是非に及ばず」
この言葉は戦国武将織田信長が本能寺の変で家来である明智光秀に謀反された際、最後に言った言葉とされ、「もう打つ手がない。もうどうしようもない。」という意味があります。私が30歳、ちょうど大垣青年会議所に入会した時に父から教わった言葉です。 それ以来、仕事でも家族でもJCでも、常に私の心の奥底にはこの言葉があります。天下統一という壮大な夢を描き、戦国の時代を生きた男が、死ぬ間際に諦めとも思えるこの言葉を言ったことを考えると、志半ばで夢を諦めるしかなかったのでしょう。 今の私たちはどうでしょう。何不自由なく生活ができる時代に生きている私たちは、「もう打つ手がない、どうしようもない」と言えるほどのことをどれだけできているでしょうか。私たちは明るい豊かな社会の実現を目指し、地域をより良くし、この西美濃地域を次代へと繋げていくという壮大な夢を描くことができる団体の一員なのです。 この夢を描ける私たちが、自分に対し、地域に対し、住民に対し「もう打つ手がない、どうしようもない」という諦めの気持ちを持ってJC活動や運動を行っていては、明るい豊かな社会の実現は達成できないでしょう。 諦めの気持ちではなく、胸を張ってやり切ったと言えるリーダーとなる。そんな若きリーダーの集団である私たちだからこそ、先駆けゆく組織として、地域に根差して、地域と共に明るい未来を創造しようではありませんか。 JCを卒業することがゴールではなく、卒業してからが本番であり、全会員に真の地域のリーダーとして輝いてほしいと願っています。40歳までという限られた時間しかありません。自らの意思で入会したJCだから、目的意識を持ってJCを使い倒そう。 己を律し、多くの機会に触れることで修練を重ね、地域のリーダーとして自覚を持って、共に歩んでいきましょう。
恥じることなく、己を信じよう。
見返りを求めず、他者を信じよう。
西美濃地域の可能性を信じよう。
その先に明るい未来があると信じて。